イギリス窯Derby

今日は海の日!

せっかくの祝日に似つかわしくないお天気ですが

皆様いかがお過ごしでしょうか?


最近こんな話をよく聞きます。

「食器に興味があるけど、目利きじゃないから・・」

「どうせ買うなら本物が欲しい」


ブランド志向が強い日本ならではの台詞ですね。

しかしどうでしょう。

私が良く読むアンティークカップの本にこんなことが書いてあります。

「マークにこだわると、本物の美しさが見えなくなる」

「カップの底に窯のマークが入っているのは一応の目安でしかありません。」

「マークにばかり気を取られると本当に自分が好きなものを手に入れるという大事なことを忘れてしまい、失敗します。」

せっかく購入したものが本物か、偽物か。そんなことばかり気にしている時点で失敗ですよね。


購入するときに一番大切なのは、このカップが美しい!と思えることではないでしょうか?

気に入らない本物を買うより、美しい名もなき窯を買ったほうが幸せな気持ちになると思うのです。

勿論、当店の商品で分からないことがあれば説明しますので遠慮なくお声がけください。


前置きが長くなりましたが、今日はイギリス窯のDerbyをご紹介しましょう。

イギリスの窯は民窯から始まりました。フランス、ドイツ、オーストリア、ハンガリーは皆王立窯ですので、好き勝手には作ることができませんが、そんな中イギリスだけが好き勝手にできちゃったんですね。おまけに1750年イギリスでは産業革命が起こりました。その結果お金持ちがたくさん生まれ、その人たちが陶磁器をどんどん買いました。

どんどん売れるわけですから、どんどん焼きまくります。

次々と新たに窯が生まれ製造されていきますが1755~1855年頃のイギリスのカップにはマークがほとんど入っていません。

諸説ありますが、税金逃れのため、もしくはモノさえよければブランドなんてどうでもいい。そんな気質によるものだとか?

それにしてもセーブルやマイセンに比べ偽物なんて殆どない。真似する必要がなかったからです。それがイギリス窯です。なので無印でも安心して購入できますね。


さてそんな星の数ほどある窯の中でもイギリスの老舗に指折り入るのがDerbyです。

Derbyの陶磁器作りは1750年頃始まります。

無印がスタンダードなイギリスには珍しくDerbyはマークが入っていますので、紐解くのが比較的容易です。


上のバラと矢車草が描かれた華やかなカップ&ソーサーはDerbyの優れたペインターであるSAMPSON HANCOCKによる1861~1935年の品です。

この年代はイギリスがぐんぐん力をつけていた時代ですから、やはり装飾も華やかですね。

時代でいえばヴィクトリアン期です。


こちらは同じくDerby ですが更に時代を遡ります。

年代でいえば1784 ~ 1806年頃ですから、こうして形が残っていることが素晴らしいことですね。

下のカップ&ソーサーも同年代の品です。


こちらの品はChelsea窯で製造されました。

Chelseaは後にDerbyに統合されますので、チェルシーダービーとか呼ばれたりします。

1770 ~1783年頃の品です。


そしてそのChelsea窯で作られたこんな面白いモノがあります。

ドイツのドレスデンを真似して作ったものです。


同じく1770 ~1783年製造のものです。

チェルシーは2人のフランス人により始まった窯だそうです。

自由に製造することが許されなかったフランスから自由を求め始まった窯です。いろいろと実験的なこともできたでしょう。特にインスピレーションを受けていたのはセーブルだったといいます。


その後病気を機にチェルシーはダービーへと売却されました。




いかがでしたか?

歴史的な背景があるとまた楽しめるのもアンティークの魅力の一つですね。

是非お気に入りのカップを見つけにいらしてくださいね。