エミール・ガレ

こんにちは。

10月に入りましたが、まだ半袖を着ています。


少し前の東北地方では考えられないような気温な気がしますが、

温暖化している今となっては、例年通り、、になるのかもしれません。


とはいえ、標高が高い山では紅葉が少しずつ始まりましたし、

栗や梨、葡萄やりんごといった秋の味覚も出揃った感じがします。


皆様は何を食べましたか?


少し秋も深まってくると、インテリアのファブリックや飾り物を季節のものに変えたくなります。ハロウィンの可愛らしい飾りもいいですが、もう少し大人っぽく上品に飾りたい時におすすめしたいのがこちら。


エミール・ガレの作品です。


エミール・ガレが作った、スイカズラ模様の花器です。



エミール・ガレ(Émile Gallé、1846-1904)は、フランスのロレーヌ地方ナンシーで、陶器・家具商を営む家に生まれました。

幼少期から工芸に親しみ、ドイツでガラス技術を習得した後、家業を継ぎながら独自の創作活動を本格化させます。

彼の名を世界に知らしめたのは、1878年と1900年のパリ万国博覧会での相次ぐ受賞でした。



彼は、当時、建築や彫刻よりも格下と見なされていた「装飾工芸」を芸術の領域に引き上げ、アール・ヌーヴォー様式を牽引する巨匠としての地位を不動のものとします。

ガレの創作の核心にあるのは、故郷ロレーヌの豊かな自然と、1867年のパリ万博で触れた日本の美術(ジャポニスム)からの深い影響です。


特に浮世絵の構図や自然観、そして繊細な叙情性は、彼の作品に独自の世界観を与えました。


彼はガラスの従来の装飾品を超えた精神的な深みを持つ作品を追求しました。

その背景には、ロレーヌの自然科学者たちとの交流があり、植物学的な知見に基づいた緻密な描写が、ガレ作品の写実性を高めました。



この花器に見られるのは、ガレ工房の得意とした「被せガラス」と「酸化腐食彫り(エッチング)」を駆使した、表現技法です。

淡いライムグリーンの素地の上に、アンバー(琥珀色)やブラウンのガラス層を重ね、フッ化水素などの混合液で腐食させることで、複数の色層を削り出し、モチーフをカメオ彫りのように立体的に浮かび上がらせています。




作品の丸みを帯びた下部には、蔓が絡み合うような力強い螺旋状の線と、そこから広がるスイカズラの葉と花がダイナミックに展開しています。


蔓性植物であるスイカズラは、絡み合いながら上へと伸びていく姿が、アール・ヌーヴォーが志向した「生命力」や「有機的な曲線」を象徴するモチーフとして、ガレをはじめとする当時の芸術家たちに好まれました。



光の透過によって、ガラス層の色の濃淡や奥行きが変化し、まるで水中に咲く花や、夕暮れの空に揺らめく植物の影のような幻想的な美しさを醸し出します。


そして、作品の底部には、エミール・ガレのサインがしっかりと刻まれ、その真正性と歴史的価値を静かに物語っています。



自然のありのままの姿を捉え、それをガラスという素材に封じ込めたガレの飽くなき探求心と自然への愛情が、この小さな花器の中に凝縮されているかのようです。



世紀を越えてなお、見る者の心を惹きつけてやまないガレの芸術を、ぜひインテリアのアクセントとして、また、コレクションの一つに加えてみてはいかがでしょうか。



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