ロバート・チェンバレン
こんにちは。
もうすぐ秋分ですね、季節は夏から秋へ移行し始め、美味しい果物たちもたくさん並ぶ季節になりました。
我が家の猫たちも、暑さがひと段落し、どうやら食欲の秋のようです。
アンティークの面白さは、物を通して時代をワープできるところでしょうか。
今日も面白いネタを見つけましたので、皆様にも共有したいと思います。
イギリスでは老舗の名窯、ロイヤルウースターにまつわるお話です。
ロバート・チェンバレンは、1750年代からロイヤルウースター窯の熟練絵付け師として活躍しました。
1783年に窯の経営権がトーマス・フライトに移ると、チェンバレンは自らの芸術を追求するため、息子ハンフリーと共に独立。
フライト窯とはライバル関係になりますが、この競争は結果的に互いの技術を磨き上げる原動力となりました。
チェンバレンは当初、カーフレイ窯から供給される白磁に絵付けを行っていましたが、やがて自社での磁器製造を決意します。
1796年に完成させた「ハイブリッド・ハード・ペースト」は、マイセンに匹敵する高温にも耐えるほどの高品質な磁器だったそうです。
彼の技術力と芸術性は高く評価され、1807年には皇太子(後のジョージ4世)が工場を訪問する栄誉に恵まれ、王室御用達となります。
この功績を記念し、彼は「リージェント・チャイナ」を発表。
精巧な絵付けと豪華な金彩を施したこの超高級磁器は、当時の英国磁器業界に大きな影響を与え、チェンバレンズ・ウースターを英国磁器の頂点へと押し上げました。
彼は、日本の伊万里焼などに影響を受けた「ジャポニズム」様式を巧みに取り入れ、イギリス独自の芸術へと昇華させました。その功績は、ライバル窯に追随を競わせるほどの影響力を持ち、英国陶磁器の発展に不可欠な存在であったことは間違いありません。
当店には現在様々な年代のロイヤルウースターがございます。
先ほど名前が上がった、フライトのものや、バールフライト&バールの年代、または、もっと前の年代のもの、など。
ロイヤルウースターは、産業革命が産声を上げた1750年頃に開業した窯元ですので、こうした物語が紡がれて、イギリスのポーセリン業界に多大な影響を与えてきたこと、そして今なお人々を魅了するものをたくさん生み出してきた、とても素晴らしい窯です。
古いものは大変貴重で、年々入手困難になっておりますので、ぜひ在庫がある時にお求めになっていただければと思います。
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